故:西村金二氏(当時の農協青年部部長)
なんとなくにんにくの形に似ているような気がします。
冬は八甲田山から吹き付ける風と火山灰質の土壌により、雑穀以外の農作物に恵まれず、出稼ぎへ行く人もたくさんいました。
このままでは立ちゆかなくなってしまうと危機を感じていました。
結構な儲けになっているらしい』
国内で生産されるにんにくの中でも最高級クラスの品質で、中央市場評価も高いのです。
栽培に成功した人は半分もいません。
田子牛(たっこぎゅう)を代表する畜産が盛んだったことから、堆肥を施し一生懸命土づくりに励むことから始めました。
少しずつ種を増やしていき、4年後の1966年、なんとか出荷できるまでになりました。
にんにくの初出荷は、なんとりんごを出荷するトラックの荷台の片隅にひっそりと紛れ込ませたのだといいます。
その後は少しずつにんにく生産者・出荷量が増えていきました。
十数人から始まった田子町のにんにく作り。
1970年には67戸もの農家が集まり「にんにく生産部会」もできました。
にんにくを作れば売れる。まさににんにくのバブルでした。
20代で家を建てる農家さんも少なくなかったそうです。
すさまじい勢いに沸いたにんにくバブルでしたが、そう長くは続きませんでした。
田子町の農家がこぞってにんにくを作付けした結果、価格が急落し儲けも少なくなってしまいました。
「採算がとれない」とやめてしまう農家も出てきました。
そこで田子町農協はにんにくの産地として生き残るため、選果の基準を厳しく設けました。
にんにくを傷の有無や大きさなどによって選り分け、規格を統一化。
少しでも基準から外れたものは容赦なく農家へ突き返されました。
『そこまで厳しくする必要があるのか?』
『文句があるのか?』
農家からの不満の声も上がり、一時は農協と農家のあいだに険悪な空気も漂いました。
しかしそれは、田子町のにんにくの高い品質を守るためであり、ひいては田子町の将来を守るための施策だったのです。
そこからは農協職員と農家とのぶつかり合いでした。
基準をクリアするため努力する農家。
心を鬼にして厳しいチェックを続ける農協職員。
その想いが、少しずつ実を結んでいきます。
みんながまとまれば産地になれる
田子町のにんにくは全国の約50か所の市場に出荷されるまでになり、品質・数量ともに「日本一」の評価を得て、日本一のにんにく産地となりました。
テレビや雑誌にも取り上げられ、田子町の名を世に知らしめ、その地位を確固たるものにしました。
町が主催となって「にんにくシンポジウム」開催をはじめ、今では来場者1万人を超える「にんにくとべごまつり」などのイベント、米国ギルロイ市・イタリアモンテチェリ・韓国瑞山市と姉妹都市締結し交流などにも力を入れていきました。
にんにく関連企業も増えていきます。また、小さくて規格外となってしまったにんにくを使ったラーメンなどの加工品の開発にも力を入れました。
1990年代になると、少しずつ入ってきていた中国産のにんにくが急増し、田子町産のにんにくの価格は暴落します。
『このままでは終われない!』
中国には出来ない品質・中国には出来ない加工品。この2本柱で強敵である中国産のにんにくに対抗しました。
その後、品質劣化を抑制し安定的な通年供給のためのにんにく高温処理施設や専用冷蔵庫も建設されました。
2006年「たっこにんにく」は東北第1号の地域ブランドとして特許庁から認定されました。(地域団体登録・商標登録番第5002091号)
生産者と農協の長年積み重ねた努力、行政支援と地域一丸となって取り組んだ、田子町の財産です。
『田子のにんにくは、よそと違う!』
たっこにんにくは、都内一流の高級店や有名百貨店、量販店、生協などで販売されています。
田子町は小さな町です。にんにく生産地が増え市町村合併が進む今、にんにくの栽培面積は決して多いわけではありません。
しかしたっこにんにくは、生産者のみならず地域と行政が一体となって「土づくりによる品質」「にんにくの町づくり」にこだわってきました。
田子町は「たっこにんにく」を誇りに思い「にんにく総合力」では、どこにも負けない日本一を自負しています。
田子町のにんにくには旬の時期が2回あります。
「生にんにく」と「新にんにく」です。
6月末から7月、収穫時期のわずか数日しか味わうことができません。
『いつものにんにくも生じゃないの?』
と思う方も多いですが、本物の生にんにくは収穫したばかりのにんにくで、水分をたっぷり含んでいるため、とても傷みやすいのです。
にんにくの産地ならではの、収穫時期だけの特別な「幻の味」です。
そのまますりおろせばシャキッとみずみずしく、
ガツンとした旨辛い味、
加熱すればホクホクとろっとした濃厚な甘味が楽しめます。
見かけるにんにくの中で一番新しく、8月頃から出荷されます。
傷みやすいにんにくは収穫後すぐに熱風で乾燥させ、水分を一定量
飛ばします。
乾燥させているとはいえ、まだまだ新鮮で実はプリッとハリがあり、ある程度日持ちもしますので、まとめて黒にんにく作りや醤油漬けなどの加工品、贈り物にも大変喜ばれています。
その旨味と甘味でしょう。
それには、田子町ならではの長く厳しい寒さも関係しています。
冬になると、にんにくは雪の下で凍るまいと自らを守り糖度を
高めます。
栄養をしっかりと蓄えじっと寒さに耐えるにんにくは、
旨味と甘みがギュッと凝縮されます。
収穫後のにんにくの糖度は、30から40近くまでになることも。
黒にんにくにして味わうとよくわかります。
高い糖度と深い旨みはまるでフルーツのようです。
たっこにんにくの魅力を、一人でも多くの人に知ってもらいたい
この美味しさを味わってもらいたい
そんな想いで、私たち和の郷は先人たちからのバトンを受け継ぎ、
自社農園でにんにくの栽培もしています。
作っています。
田舎の小さな町・田子町から、真心こめてお届けします。
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